静かに始まったセカンドオピニオン。
準備していた質問、大きく5つくらいですが、手短かに伝えました。
先生は、メモを取りながら話を聞いてくれ、こちらが質問を終えたらメモを見ながら順序立てて説明してくれました。
今の病気の状態をセカンドオピニオンとしてはどう診断するか?
考え方としては、まずこの腫瘍は良性なのか悪性なのか。それから悪性腫瘍だとして、精巣腫瘍の転移なのか別のがん(悪性リンパ種)という可能性があるので、良性のケースも入れて3つの可能性がある。
良性なのかどうかについては、PETの、結果より悪性腫瘍であることが示されている。
また、精巣腫瘍の転移なのか悪性リンパ腫なのかで言えば、一般的に僕のケース(精巣腫瘍セミノーマの1期で精巣を摘出)では、予防治療をしないと20%が再発のリスクありということで、このケースにはまると考える方が妥当。
悪性リンパ腫の可能性も排除できないが、極めて低いと考えられるし、そこを解明するためには、開腹手術をしてリンパ節を取り出し病理検査をしないとわからない。そちらの方が身体への負担も高く、精巣腫瘍の転移として診断を確定し、治療を始めた方が合理的。
ということを、紙に図を書きながら説明してもらいました。
ある程度自分でも調べていたことが多かったのですが、こうやって丁寧に説明されると、なんだか腹落ちします。
治療方針の選択肢としては何があるか?
考えられるのは抗ガン剤か放射線治療。
セミノーマの1期で横隔膜より下への転移のケースでは、放射線治療でも十分治療は可能。
ただし2㎝以上のリンパ節になってくると、放射線治療でリンパ節そのものは90%に近い確率で治療できるが、画像ではわからないくらい小さな転移が発生している可能性があるので、医者としては抗がん剤を勧める。
最初にかかっていた大学病院では、決定事項とばかりに「抗がん剤になります」とだけあっさり言われていたので、ずいぶん印象が変わりました。
それぞれの治療法のメリットとリスクは?
よく知られている話ですが、抗ガン剤は副作用、吐き気や脱毛、骨髄抑制(白血球の減少など)があるが、精巣腫瘍には非常によく効いて90%以上の確率で完治が目指せる。
ただし治療期間が長期に渡り、3週間/クール x 3セットで3ヶ月くらいは入院になるということです。会社勤めの働き盛りの年代にはちょっと厳しいところ。
一方で放射線治療は、僕のようなセミノーマ型の精巣腫瘍にはよく効くらしく、また1か月ほどの通院で会社を半休等で時間調整しながら治療できるので、仕事への負担は軽くてすむ。
抗がん剤のような副作用もないので体への負担も少ないが、今あるリンパ節だけに対して放射線を照射するため、目に見えない小さな転移があった場合には何年か後に再発するリスクがある。
再発も覚悟の上であれば、放射線治療だけでも今できている腫瘍自体はほぼ完治するので、やり方としてないわけではない。
会社を何カ月も休む不安はあるけれど、もう一度再発したらもう気持ち的にも立ち直れないだろうなーと思い、抗がん剤を覚悟した瞬間でした。
後遺症として気になっていた生殖機能への影響は?
抗がん剤治療をするのであれば、人によるが副作用として生殖機能への影響(精子の減少)は確かにある。ただ1年くらいすると精子の数は戻ってくるのでまったくの不妊となることはない。これも個人差があり元に戻らない人もいるので、念のため子どもを考えているのであれば、精子凍結保存をお勧めする。
ちなみに影響は精子の減少による不妊であって、障害を持ったこともが生まれやすくなるとか、そういったことはないようです。ですので、もし子どもができてその子に障害があったとしても、それは抗がん剤による副作用ではなく、もともと数%は誰もが持っている障害を抱えるリスクによるものだそうです。
腹をくくって治療にのぞむ
こんな具合に、図や資料を見せてくれながら丁寧に説明してもらいました。
ネットやもとの大学病院で聞いた内容と大きく違う話ではなかったのですが、体系立てて話をしてもらえたこと、こちらの質問が無くなるまでは先生も診察を終わろうとせず話を聞くスタンスでいてくれたことで、納得感と腹をくくる覚悟が持てました。
セカンドオピニオンを受ける人が求めることってこういうことなのかなと改めて思いました。
診察が終わり、お会計。
基本料金13,000円 + 画像(CT)診断5,000円 = 18,000円
安くはない金額ですが、それなりの満足感も得られた金額です。
これで決心は出来ました。
主治医に会って治療の手配をお願いしよう。