大きな病気や休職、退職、転職をした年には必ず確定申告をするべきというのが僕の主張なんですが、初めての確定申告は手続きに何かと迷うもの。医療費控除も記入方法がわからなくなる項目の一つです。
医療費控除とは?
国税庁サイト(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm)では
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
つまり、自分と家族のために払った医療費の合計額を税金の計算元である収入金額から引くことができるのです。そのため、実際の金額より低い収入金額に税率をかけて税金が計算されるので、本来支払うべき税金額がすでに給与天引きで引かれていた税金額より低くく再計算されます。
この差額分が確定申告により還付金として戻ってくるのです。大きな病気をした年には確定申告をした方がいいと言っているのもこのためです。
(※ここでは課税所得などの用語をつかわず、あえて言い方として正しくないけれど、日常使う言葉で記述しています)
記入方法の基本
記入の仕方は面倒ですがシンプルで、所定の用紙「医療費の明細書」に1年間にかかった医療費の領収書金額を一件ずつ記入していきます。日付や金額だけでなく、病院名や病院住所、対象になる病気や怪我の名称なども記入するので、件数が多いと大変そうに感じますが、国税庁サイトの確定申告コーナーにエクセルのテンプレがあるので、それを使えば住所などの定型文はコピペでサクサク記入できます。
含めるもの・含まないもの
医療費控除の対象になる医療費とは、主に治療を目的とした支出です。これは病院にかかった費用だけでなく、治療を目的にしていれば病院へ通うためのタクシー代であったり、薬局で購入した医薬品もその対象として記入することができます。
反対に、たとえ病院での支出であっても、予防接種等の費用は治療を目的とはしていないため、対象の医療費には含まれません。(美容目的、予防、健康増進)
対象者の範囲
医療費控除の申請ですが、対象になるのは本人だけでなく、その家族が支払った医療費も対象になります。
健康保険法の扶養家族と税法上の家族の定義は異なるため、健康保険証が別々でも税法では医療費に合算できます。
テクニックとしては、家族の中で一番収入が高い人にまとめて申告することで、より多くの控除を受けることができます。
収入が高い人ほど税率も高いので、課税対象から控除された時の影響が大きいためです。
保険金などの収入の取り扱い
医療費控除の申請で一番悩むのが、保険金などの収入の取り扱いです。
医療費控除の申告では、かかった医療費の合計で計算するではなく、合計から民間の医療保険等で支払われた給付金等をかかった医療費から差し引いて申告する必要があります。
要するに、そっちの分は医療費でカバーされたんだったら、二重にメリットを受けるのはダメだよってことです。よく考えたら不公平な感じもするのですが、そういった制度なので、仕方ありません。
ルールに沿って処理すべきところですが、ここでも取り扱いに注意が。
保険給付金を差し引くのは
それは、これらの給付金は「その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きする」という点です。 たとえば、 入院費8万円、 その入院で生命保険から受取った給付金が20万円、その後の通院や家族の医療費で10万円使ったとすると、給付金は入院費の8万円からのみ差し引けばOKです。その他の医療費10万円から差し引く必要はありません。
これを知らずに全体で使った8万円+10万円=18万円から20万円を差し引くと、控除できる医療費は0円(マイナスは0円に)ですが、上記にならって計算すると入院費8万円からのみ差し引いて(⇒8万円-20万円=0円)、その他の医療費10万円はそのままということで、控除対象とななる医療費は10万円残ります。
地味に難しいの医療費控除。
でも安心してください。
世の中には親切なサイトがたくさんありますので。